毎日昇り降りする階段。近年の注文住宅ではリビング階段の人気も高く、インテリア面でも存在感を増しています。そんな階段を安心して使うためには、どのような点に注意するべきなのでしょうか。階段を構成する部位の名称とともに、知っておきたいポイントを解説します。

■階段の安全性を考えよう
令和元年、東京消防庁管内では階段などからの転落事故により約1万7,000人の人が救急搬送されました。転落事故はすべての年代に起こっていますが、もっとも多い年齢層は4歳以下の子ども、次いで70歳以上の高齢者となっています。また、転落事故のもっとも多い発生場所は住宅内でした。小さな子どもやお年寄りが暮らす住まいでは、階段の安全性は特に重視したいポイントのひとつです。 参考:救急搬送データからみる日常生活事故の実態 令和元年│東京消防庁
■昇り降りしやすい階段の勾配は?

建築基準法では、住宅の階段は幅75cm以上、蹴上げ(けあげ)23cm以下、踏み面(ふみづら)15cm以上を確保するように定められています。ただし、この基準を最低限満たすように設計すると、かなりの急勾配(約57°)となり、昇り降りに不安を感じる階段になってしまいます。そのため、一般的な住宅では45°くらいになるように設計することが多いです。
蹴上げを低くすると、段差が小さくなり高齢者や体の不自由な方でも上りやすく、踏み面を大きくすると足を乗せやすくなり踏み外しにくくなります。ただし蹴上げを低くして踏み面を大きくしすぎると、歩幅と合わなくなり却ってつまづきやすくなるケースもあるため注意が必要です。また、緩やかな階段は設置に必要な面積も大きくなります。
使う人の体格や年代をふまえ、踏み面と蹴上げのバランスが取れた階段を選びましょう。一般的に昇り降りしやすい階段の目安は【蹴上げ×2+踏み面=60cm】とされています。
参考:建築基準法の階段に係る基準について│国土交通省
■階段の踊り場の役割

階段のデザインは、全体の形状や踊り場の有無によりいくつかの種類に分けることができます。踊り場とは、階段の途中に設けられた広い部分のことで、昇り降りの途中で休んだり、体の向きを変えたりするためのものです。また、階段に曲がり角や踊り場を設けることで、万が一転倒してしまったときに途中で転落を食い止められる可能性が上がります。ただし踊り場や曲がり角が多い階段ほど、広い設置面積が必要です。。
■階段の手すりの必要性
手すりの高さの注意点
建築基準法では、高さ1m以上の階段には手すりを設置するよう定めていますが、設置する高さについては特に基準はありません。一般的な目安は床から75〜80cmほどですが、家族の身長に合わせて決めるのがベストです。手すりの位置が高すぎすると重心が後ろになり、低すぎすると重心が前になり、いずれも不安定な姿勢になってしまいます。子供用と大人用として手すりを2重にする方法もあります。 45°以上の勾配がある階段では、両側に手すりを設けるのがおすすめです。将来的なバリアフリー化などで、新たに手すりを設置する可能性がある場所には、下地を入れて補強しておくと必要なときにすぐに対応できます。
手すり壁の注意点

「手すり壁」は、上部が手すりになっている斜めの壁です。壁という名称ですが、透明なガラス製、木製、アイアン製などさまざまな素材とのデザインのものがあります。なかでも近年人気の高いものが縦格子のシンプルな手すり壁です。見通しが良く開放感があり、モダンなインテリアによく合います。 間隔の広い格子の手すり壁の場合、小さな子どもが階段まわりで遊ぶうちに、格子の間から転落する可能性があるため注意が必要です。わずか12cmのすき間から転落した事例もあり、国土交通省の「子育てに配慮した住宅のガイドライン」では、格子の間隔の目安を11cm以下(推奨値は9cm以下)としています。また、見栄えは一時的に悪くなりますが、子どもが成長するまで手すり壁に転落防止ネットを設置する選択肢もあります。 参考:子育てに配慮した住宅のガイドライン│東京都住宅政策本部
■安全な階段づくりの注意点
足元の明るさを確保する
階段がうす暗いと転倒の危険性が高まるため、段差がよく見えるようにフットライトを設置しましょう。暗くなると自動的に点灯するタイプや、人感センサータイプも便利です。つまづきの原因にならないよう、フラットなタイプや埋め込み型がおすすめです。
照明スイッチの位置
階段を全体的に照らす照明は、1階と2階の両方でオン・オフができる「3路スイッチ」にするのが一般的です。さらにもうひとつスイッチを設ければ(3か所でオン・オフ=4路スイッチ)階段から離れた場所で照明をコントロールすることができます。特に回遊動線の間取りや広い住宅では、移動距離が長くなりがちなため、4路スイッチがあると便利です。どのように移動してどこでオン・オフするのかを想定しながら、スイッチの位置を決めましょう。
将来のことも考慮する
現在だけでなく、将来のことも考えて階段の安全性を考えましょう。これから年齢を重ねていくことや、家族(高齢者や子ども)が増える可能性も考慮して安全性を高めておけば、安心して暮らすことができます。
■まとめ:家族に合った階段をつくろう
建築基準法をクリアしただけの階段は、勾配がきつく快適とはいえません。住まいをプランニングするときには、階段のデザインとともに安全性の高さも重視しましょう。暮らす人の年齢や体格によって使いやすい階段の条件は異なるため、実際に体感してみるのがおすすめです。ウィザースホームの住宅館LABOでは、角度の異なる階段を昇り降りしていただけます。
