マイホームを建てようと思ったとき、最初の大切なステップは土地探しですね。でも、土地を購入するためには、土地の代金以外にもさまざまな費用が必要になることをご存知でしょうか。諸費用が予想以上に高額になると、建築費用を減らさざるを得ない状況になってしまうこともあります。それを防ぐには、土地購入の際にどのような費用がどれくらいかかることになるのか、しっかりと把握しておくことが大切です。(※掲載の税率や特例措置等の情報は2024年4月時点のものになります。)
土地購入にかかる諸費用の目安は?
土地を購入する際に必要な、土地代金以外の費用をまとめて「諸費用」と呼びます。土地購入時の諸費用は、一般的に土地代金の5〜10%ほどとされていますが、土地の状況や法的な要件などによって、大きく変わることもあります。
諸費用の内訳には、税金や登記に関する手数料、土地の整備費用などが含まれます。土地代のようにはっきりと提示されていないため「見えにくいコスト」ですが、諸費用も考慮に入れた総合的な資金計画を立てることが重要です。
土地を購入する際にかかる諸費用
仲介手数料
仲介手数料は、土地の売買契約を取りもつ不動産会社に支払うお金です。仲介手数料の上限は宅建業法で定められており、下記の速算式で算出できます。
仲介手数料の支払いタイミングは、売買契約を結ぶ際に50%、決済時に残り50%とするのが一般的です。また、不動産会社が所有する土地を購入する場合には、仲介手数料は不要になります。
手付金
手付金は、土地の売買契約を結ぶ際に売主に支払うお金です。「この土地を買う」「この土地を売る」という、売主・買主双方の意志を示す役割があり、契約成立の証拠となります。手付金は土地代金の20%が上限と宅建業法で定められており、実際には5〜10%ほどが相場です。決済日には、土地代金から手付金を差し引いた金額を支払います。なお、買主の都合で売買契約をキャンセルする場合、支払い済みの手付金は返却されません。
ローン手数料
自分が住む住宅の建築を前提に土地を購入する場合は、住宅ローンを利用することが可能です。住宅ローンの契約にもいくつかの諸経費が掛かります。
保証料
金融機関が指定する保証会社に支払うお金です。保証料を納めることで、万が一ローン返済が滞った場合に、保証会社が残債を立て替えて金融機関に支払うことになります。(※ローン返済自体が免除されるわけではありません。)保証料は借入額の1〜2%ほどで、一括払いのほかローン金利に上乗せする方式もあります。
融資手数料
住宅ローンを融資する金融機関に支払う事務手数料です。借入額に関わらず一定の金額(3〜6万円ほど)を支払う「定額型」と、借入額に一定の割合(2.2%が相場)をかけた金額を支払う「定率型」があります。
土地を購入する際にかかる税金
登記費用
土地の売買で所有者を変更するために、所轄の法務局で登記を行います。登記とは土地の権利を公的に記録する手続きで、名義変更となるものが「所有権移転登記」、住宅ローンを利用する場合は「抵当権設定登記」も必要です。その際に、所定の「登録免許税」を支払います。
【登録免許税】=課税標準×税率
なお、土地の所有権移転については2026年(令和8年)3月31日まで、抵当権設定についてはマイホームを建てる場合のみ2026年(令和8年)3月31日まで軽減税率が適用されます。
また、登記手続きを司法書士に依頼する場合は、交通費などの実費と報酬を支払います。報酬は司法書士事務所ごとに異なりますが、所有権移転登記のみの場合で3〜7万円ほどが目安です。
固定資産税・都市計画税の日割り精算
固定資産税及び都市計画税は、その年の1月1日時点で土地を所有する人に毎年支払い義務がある税金です。これらの税金を売買契約日に応じて日割り計算し、売主に支払います。
不動産取得税
不動産取得税は、その名の通り不動産を取得(購入)した際にかかる税金です。土地の取得後に都道府県から4ヶ月〜1年ほどで送付される、納税通知書に同封されている納付書で支払います。
【不動産取得税】=固定差資産税評価額×4%
2024年3月31日までの特例として、宅地の固定資産税率が1/2、税率は3%で税額が算出されます。また、土地の購入後3年以内に一定の要件を満たす家を建てた場合には、軽減措置を受けることが可能です。以上をまとめると下記の通りとなり、条件によっては非課税となる場合もあります。
【マイホーム用の土地の不動産取得税】=(固定資産税評価額×1/2)×3%−控除額(AかBいずれか多い額)
A:45,000円
B:(1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×(住宅の床面積×2[上限200㎡])×税率3%
印紙税
印紙税とは、不動産売買の契約書を作成する際に掛かる税金です。契約金額に応じて所定の金額の収入印紙を購入し、契約書1通ごとに貼り付けることで納税した証明となります。土地の売買契約書は売主と買主それぞれに作成するため、収入印紙も2枚必要になります。特に取り決めがなければ、印紙税代は折半するのが一般的です。
不動産売買契約書の印紙税額は、2027年(令和9年)3月31日までの軽減措置の対象となります。下記表は契約金額ごとの印紙税額を一部抜粋したものです。
消費税
土地は法律上“消費されない”ものとされているため、土地自体に消費税は掛かりません。ただし、売買に関する手数料や建物の建築費は課税対象です。
土地を購入した後にかかる費用
土地の購入後、家を建設する前に必要となる費用もあります。この費用は土地の状況や地域により大きく異なってくる部分なので、購入に踏み切る前にしっかりと確認しておくことが大切です。
土地の整備費用
購入した土地に建物がある場合、更地にするための費用が必要です。解体費用と処分費用は、建物の大きさや構造の種類により異なります。また、敷地内に庭木がある場合は、その伐採や抜根、処分費用も必要です。さらに、土地が平坦でない場合は造成工事が必要で、工事費用や残土処理費用がかかります。また、古い擁壁(土地に高低差を設けた壁)がある場合、現在の基準に合わせてやり直しの工事が必要になる場合があります。
地盤改良費用
土地の地盤が弱い場合、家の建築の前に地盤改良工事が必要です。土地の強さは地盤調査により判断しますが、ハザードマップや周辺の地盤データ等を参考にして大まかに予想することもできます。
インフラ整備費用
水道・ガスが引き込まれていない土地の場合、浄化槽の設置や配管の敷設工事が必要です。また、古い建物があった土地や旧分譲地の場合は、老朽化した配管の交換や、配管の口径を変えるために、配管の引き直しが必要な場合があります。
水道加入金・分担金
新たに水道を引き込む際に、水道局へ支払う費用です。金額は自治体によって異なり、負担が不要な地域もあります。
●水道加入金の一例(金額は税抜)
千葉県(一部を除く):10万円〜
埼玉県さいたま市:8万円〜
神奈川県横浜市:15万円〜
東京都全域:不要
まとめ:土地購入の前に、専門家への相談がおすすめ
土地を購入する際には、土地自体の代金以外の諸費用がかかります。見落とされがちなコストですが、家を建てる前に必ず必要となるものです。土地の状況によっては想像以上に高額になることもあるため、諸費用も考慮に入れた資金計画を立てることが大切です。土地探しの際には、そのエリアの土地事情をよく理解している専門家に相談することをおすすめします。
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