キッチンは、毎日の家事を担う場所。調理や洗い物などの作業が多く、物も多いことから、「狭くて使いにくい」「収納が足りない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。だからこそ、暮らしやすい住まいづくりのためには、キッチンの使いやすさは大切。この記事では、キッチンの種類や動線の考え方、サイズ選びのコツなど、知っておきたい基礎知識を解説します。
システムキッチンと造作キッチンの違い
キッチンは、つくり方により「システムキッチン」と「造作キッチン」の2種類に分けることができます。
システムキッチン
あらかじめ工場で製造されたパーツを建築現場で組み立てるタイプのキッチンです。シンクや収納などがセットになっており、デザインや設備、サイズなどを選ぶことができます。設計や組み立てが標準化されているため比較的コストを抑えやすく、現在は一般家庭に設置されるキッチンの主流です。一方、デザインやサイズの自由度が限定されるため、キッチンへのこだわりが強い方には物足りない場合もあります。
造作キッチン
自分好みにイチから設計できるオーダーメイドのキッチンです。素材やデザイン、レイアウトなどを自由にアレンジすることができ、建築基準法や消防法による制約の範囲であれば、どのようなキッチンでも実現が可能です。ただし、設計の自由度が高いぶんプランニングに時間が掛かり、コストも高くなりやすいです。キッチンへのこだわりが明確な方は検討してみるとよいでしょう。
キッチンの種類と特徴
I型キッチン
I型は、シンクとコンロを横一列に配置するタイプのキッチンです。どのようななレイアウトでも採用しやすく、コンパクトなキッチンにしたい場合にも向いています。デメリットとしては、シンクとコンロが近すぎると作業スペースが狭くなりがちで、広い調理台を確保したい方にはやや不便に感じられることがあります。
二列型(セパレート型)キッチン
二列型(セパレート型)は、2台のキッチンを平行に並べ、シンクとコンロをそれぞれに分けて配置するタイプです。中央に通路を挟む形で、調理と洗い物の作業を分けられるため、家族で料理を楽しみたい場合にも便利です。作業台を広く取りやすく、調理スペースを広く確保したい方に向いています。デメリットとして、シンクとコンロが離れるため、行き来する際に食材や水滴などがこぼれやすいという点があります。
アイランド型キッチン
アイランド型は、周囲を壁から離して島のように配置するスタイルのキッチン。開放的デザインは見た目のインパクトも大きく、リビングやダイニングとの一体感を演出しやすいです。キッチンまわりが行き止まりのない回遊動線となるため家族が行き来しやすく、複数人での調理にも適しています。デメリットは、周囲に動線を確保するための広い設置スペースが必要なこと、開放的なぶん油煙やにおいがリビングに広がりやすいことです。
ペニンシュラ型キッチン
ペニンシュラ型は、半島(ペニンシュラ)のように片側が壁に接しているタイプのキッチンです。アイランド型のようなオープンな雰囲気を持ちつつ、壁があるぶん設置面積や導入コストを抑えられます。また、片側が壁に付いているので、油はねや煙対策としてコンロ前に壁をつくることもできます。
L型キッチン
L型キッチンは、シンクとコンロのキャビネットを直角に配置するキッチンです。曲がり角を活かしてシンクとコンロを近づけることで作業動線を短くでき、効率的なレイアウトになります。デメリットは、コーナー部分が上手に活用できないとデッドスペースになりやすいこと。収納の工夫で有効活用しましょう。
コの字型(U型)キッチン
コの字型(U型)は、三方向をキャビネットで囲む形のキッチンです。中心に立ちシンク・コンロ・作業スペースを短い動線で往復できるため、効率的に作業ができます。収納も豊富にとれるため、調理道具や食品をたくさんストックすることが可能です。デメリットは、キッチン全体を広く取る必要があり間取りに制約が生じやすいこと、コーナー部分2か所の収納がデッドスペースになりやすいことです。
キッチンのレイアウトの選び方
キッチンの間取りへの組み込み方は、下記の4種類に分けることができます。
- ・対面型
- ・クローズ型(独立型)
- ・セミクローズ型
- ・壁付け型
それぞれのレイアウトの特徴を確認していきましょう。
対面型
対面型は、リビング・ダイニングとキッチンが向き合わせになるレイアウト。家族やゲストとのコミュニケーションが取りやすいことが特徴です。子どもの様子に常に目を配りたい子育て世帯に人気があります。また、キッチンとダイニングテーブルとの距離を近づけやすいため、配膳や片付けの動線を最短にすることも可能です。その一方で、間取りによってはダイニングテーブルやソファまわりと動線が重なりやすく、広さに余裕がないと窮屈に感じることもあります。
クローズ型(独立型)
クローズ型は、キッチンが壁やドアなどで独立した空間になっているレイアウトです。リビングやダイニングと切り離されているため、落ち着いて調理に集中できます。においや油煙がほかの部屋に広がりにくく、生活感を隠したい方にもおすすめです。ただし、リビングとの一体感が薄くなるため、孤独を感じる方もいます。
セミクローズ型
セミクローズ型は、対面型とクローズ型の中間にあたるレイアウトです。壁の一部や仕切りを残しつつ、ほどよく開放感を持たせます。リビングで過ごす家族やゲストとのコミュニケーションをある程度確保しつつ空間を分け、キッチンを丸見えにしたくない方に向いています。
壁付け型
壁付け型は、その名のとおりキッチンを壁沿いに配置するスタイル。I型キッチンやL型キッチンで採用されます。シンプルかつ省スペースに設置でき、対面式よりも導入コストを抑えやすいです。ただし、作業中は基本的にリビング側に背を向けることになるため、対面型などに比べるとコミュニケーションは取りづらくなります。
キッチンのレイアウトを検討する際は、家族構成やライフスタイルに合わせて、どのような暮らしを送りたいかを具体的に想像することが大切です。LDK全体の生活動線や広さ、作業台・収納スペースの取り方など、総合的に考えてプランを立てましょう。
使いやすいキッチン選びのポイント
毎日の家事をラクにするために、キッチンの使いやすさを高めるポイントを確認してみましょう。
レイアウトと動線の考え方
キッチンを効率よく使うために、ワークトライアングルという考え方があります。ワークトライアングルとは、シンク・コンロ・冷蔵庫を結んだ動線のこと。この3点を正三角形に近い形で配置すると効率的に動くことができます。
また、浴室やランドリーとの動線も考慮することで、家事の同時進行がしやすくなります。家族とのコミュニケーションを重視する場合は、視線や声が届きやすいオープンなレイアウトもおすすめです。
収納の考え方
キッチンには食品やツール、食器、調理家電など多くの物が集まるため、収納スペースの確保が大切です。持ち物の量を把握し、何をどこにしまうか具体的に考えながらキッチンのプランを決めましょう。ウォーターサーバーやごみ箱を置く場所もお忘れなく。持ち物が多い方やまとめ買いの機会が多い方は、キッチン近くにパントリー(食品庫)の設置もおすすめです。
デザイン性と実用性のバランス
キッチンは見た目の美しさにもこだわりたいですが、掃除や片付けのしやすさも大切です。例えば、立ち上がりのないフルフラットのカウンターは開放感がありおしゃれですが、常に片付けておかないと雑然として見えやすいという面もあります。素材選びは汚れが落ちやすい・傷がつきにくいものを選ぶと、日々のお手入れがラクになります。
サイズの決め方
キッチンの高さやシンクの深さは、使い勝手や疲労感に直結します。各場所のサイズは、キッチンに立つ頻度が最も高い人に合わせましょう。天板(ワークトップ)の高さは「身長 ÷ 2 + 5cm」が目安です。シンクの深さや幅も要チェック。深いシンクだと大きな鍋を洗いやすい反面、底に手を伸ばす際に負担を感じることもあります。吊戸棚は高い位置にあるほど収納力はアップしますが、背が低い方にはデッドスペースになりやすいため注意が必要です。
使いやすい理想のキッチンをかなえよう
キッチンはレイアウトや形状によって、家事効率や快適さが大きく変わります。また、近年はリビング・ダイニング・キッチンが一体となった開放的なLDKが主流のため、キッチンのレイアウトが間取り全体に大きく影響します。家づくりの早い段階から、キッチンまわりの動線や収納、サイズをしっかりと検討しましょう。
キッチンの実際の質感や設備の使い心地を確かめるためには、ショールームやモデルハウスに足を運ぶのがおすすめです。ウィザースホームの体験型ショールーム「新昭和ハウジングスクエア」では、さまざまなレイアウトタイプのキッチンをモデルハウスごとに体感していただけます。各メーカーのキッチンが展示されており、天板の高さのシミュレーションも可能です。ぜひお気軽にお越しください。