毎月支払う家賃、住宅ローンの支払いに充てたほうがおトクなのでは…
と思ったことはありませんか?
賃貸住宅に住み続ける人と、持ち家を購入する人、どちらが得なのでしょうか。 それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
賃貸住宅のメリット
住み替えしやすい
賃貸住宅の一番大きな特徴といえるのが、住み替えしやすいことです。仕事の都合や家族の進学など、ライフスタイルの変化に合わせて住む場所を変えることができます。
住居費用をコントロールしやすい
生活費のなかで大きな割合を占めるものが、住居費用です。一般的に、家賃は手取りの3割以下に収めるのが理想的と言われています。収入が減ったときや、まとまった出費が必要なとき、より家賃が安い賃貸住宅に住み替えれば生活費が抑えられます。
設備の修理費用の負担がいらない
賃貸住宅では、入居時に設置されていた設備(エアコン・給湯器など)が通常の使い方で故障した場合、大家さんの費用負担で修理・交換をしてもらえます。ただし、室内の電球や蛍光灯が切れた場合は、消耗品として入居者が交換費用を負担するのが一般的です。
賃貸住宅のデメリット
家賃を払い続ける必要がある
賃貸住宅は、そこに住む限り家賃を支払う必要があります。当然ですが、何年・何十年と家賃を支払い続けても、家が自分の資産にはなることはありません。また、2年に一度程度の契約更新時に、更新料(家賃の1〜2ヶ月が目安)の支払いも必要です。
老後は借りにくくなる可能性がある
平均寿命は年々上昇しており、2050年には女性の平均寿命が90歳を超えると見込まれています。長寿命化により増えてきたものが、高齢者の入居拒否問題です。賃貸住宅の入居審査の際、たとえ資産が充分にあっても、年齢を理由に入居を拒否されてしまうケースが増加しています。
人口の減少により将来的には「家が余る」として、入居拒否問題をそれほど心配しなくても良いだろうという楽観的な意見もあります。それでも、利便性が高く人気のある物件ほど、入居できなくなる可能性があるはずです。
原状回復義務がある
通常、賃貸住宅には原状回復義務があり、退去時の室内を入居したときと同じ状態に戻す必要があります。そのため、壁や柱と家具を耐震金具でネジ留めしたりすることはできませんし、インテリアが好みでなくてもクロス(壁紙)を剥がしたり、塗装したりすることはできません。原状回復に必要な費用は、入居時に預けた敷金のなかから支払われ、それでも足りない場合は追加請求されることもあります。
なお、国土交通省の定めたガイドラインによると、床やクロスの紫外線による変色、冷蔵庫裏の壁の黒ずみ、ポスターを貼った画びょうの跡などは、通常の住み方で生じるものとして入居者に原状回復義務がないとしています。
部屋数が多い物件が少ない
賃貸住宅は、単身向け〜少人数の家族向けの物件が多い傾向があります。特に、利便性の高いエリアにおいては、部屋数が多いファミリー向け物件は少なく、選択肢が限られます。
賃貸住宅はこんな人におすすめ
収入が安定していない
収入に波がある人には、賃貸住宅がおすすめです。収入の変化に応じて、無理なく払える家賃の家に住み替えることができます。
ライフスタイルが変化する可能性がある
その場所に住み続けることがはっきり判断できない人にも賃貸住宅がおすすめです。今後、転職や結婚などでライフスタイルが変わる可能性がある人は、将来の方向性がある程度定まってから住宅を購入するかどうかを改めて検討しても良いでしょう。
持ち家のメリット
自分好みの内装・間取りにできる
持ち家は自由にリフォームできるため、クロスを張り替えたり、塗装したりして、自分らしい住まいに作り上げていくことが可能です。注文住宅やフルリノベーションなら、ありふれた間取りではない思い通りの住まいを実現することもできます。育ち盛りの子どもが壁や床に傷を付けてしまうことを、過剰に心配する必要もありません。
家が資産になる
住宅ローンを完済すれば、住宅費用が大幅に下るため、収入の少ない老後の暮らしの安心材料になります。老人ホームなどへ入居することになったとき、持ち家を売却して初期費用に充てることも可能です。
また、住宅ローン契約時に団体信用生命保険(団信)に加入すれば、一家の大黒柱に万が一のこと(死亡や高度障害状態)があったとき、ローン残債が一括返済されるため、家族に住まいを残すことができます。
賃貸住宅に比べて制約が少ない
賃貸住宅の契約書には禁止事項が記載されており、リフォームをはじめ、第三者への転借(又貸し)、ペットの飼育、楽器の演奏など、さまざまな制約が定められています。分譲マンションにも管理規約はありますが、賃貸マンションはより制約が多い傾向です。戸建てであればそのような管理規約はないため、より自由に暮らすことができます。
持ち家のデメリット
住み替えのハードルが高い
持ち家を購入したら、賃貸住宅のように気軽な住み替えは難しくなります。住み替えができないというわけではありませんが、元の家を売却するのか、賃貸に出すのか、既存の住宅ローンに加えて新居の住宅費用を払えるのか、といった問題をクリアしなければなりません。住宅ローン返済中に持ち家を売ることも可能ですが、売却価格がローン残債を下回ってしまう可能性もあります。
滞りなくローンを返済しなければならない
住宅ローンを契約したら、何らかの理由で収入が減っても、毎月のローン返済を続けなければいけません。金融機関に相談すれば、条件を見直して月々の返済金額を下げてもらうことが可能ですが、ローンそのものが減額されるわけではありませんし、返済期間も伸びます。
固定資産税を払う必要がある
固定資産税とは、不動産を持つ人に毎年の納税義務がある地方税です。資産価値が高い住まいほど、固定資産税額も高めになります。「市街化区域」にある住まいの場合、都市計画税もかかります。なお、東京23区のほとんどが市街化区域です。
メンテンナンス費用は自分で用意する
持ち家では設備が故障した場合、修繕・交換費用を自分で支払わなければなりません。マンションの場合、共用部の維持・管理費用は毎月の共益費からまかないますが、戸建の場合は外壁や外構などのメンテナンス費用もすべて自分で用意しておく必要があります。設備の寿命や交換時期を考慮して、資金計画を立てておきましょう。
まとめ:持ち家はこんな人におすすめ
住まいにこだわりがある
持ち家なら、注文住宅やリノベーションで思い通りの住まいを実現できるため、インテリアにこだわりたい人や、ありきたりではない間取りに暮らしたい人におすすめです。住み始めてからも、自由にカスタムすることができます。
子ども部屋を確保したい
部屋数を多く確保しやすい持ち家は、子育て世帯におすすめです。子どもの成長に合わせてリフォームで部屋を分割したり、子どもが巣立った後には親の空間を広くしたりすることも可能です。
ペットとのびのび暮らしたい
ペットが住まいに傷をつけたり、汚したりすることを気にせずにのびのび暮らせます。特に戸建ては管理規約による制約がないため、多頭飼いや大型犬との暮らしにおすすめです。
賃貸住宅と持ち家、どちらが良いかは人それぞれ。コスト面だけではなく、住まいに対する価値観やライフスタイルに合わせて検討しましょう。