注文住宅を建てる際、土地の購入費用や建築費用のほかにさまざまな費用がかかることをご存知ですか?
住宅取得に関する諸費用は、どれくらい用意しておけばよいのでしょうか。諸費用の内訳や、金額の目安を解説します。
(税率や特例の適用期限等は令和6年3月時点での情報です)
注文住宅を建てるときにかかる諸費用とは?
注文住宅を建てるとき、土地の取得費用や建築費用とは別に、税金や手数料といった諸費用を用意する必要があります。諸費用の金額は契約条件や工事の内容により異なってきますが、土地の購入費用+建築費用の10〜12%ほどが大まかな目安です。
注文住宅の諸費用【土地購入時】
仲介手数料
土地を購入する際に、売主と買主を仲介する不動産会社に支払う費用です。仲介手数料の上限は法律で定められています。
・仲介手数料の上限額
200万円以下の部分…売買価格 × 5% + 消費税
200万円超400万円以下の部分…売買価格 × 4% + 消費税
400万円超の部分…売買価格 × 3% + 消費税
上記をまとめると、400万円以上の土地を売買する場合の仲介手数料は、以下の速算式で算出できます。
【仲介手数料】=売買価格×3% + 6万円 + 消費税
なお、土地は「消費されないもの」と定義されているため消費税の課税対象ではありませんが、仲介手数料には消費税がかかります。
登記費用
不動産を売買する際、法務局の管理する登記簿というデータベースに、土地や建物の情報や権利状態の更新手続きを行う必要があります。土地の売買のときに行うのは、所有者を売主から買主へと変更する「所有権移転登記」です。登記手続きの際に、登録免許税を支払います。
【所有権移転登記 登録免許税】=固定資産税評価額 × 税率
所有権移転登記の本則税率は2.0%ですが、令和8年3月31日までは、特例として軽減税率が適用されます。
土地の売買による移転登記
※適用期限:令和8年3月31日まで
また、登記手続きは司法書士に代行を依頼するのが一般的で、登録免許税や交通費などの実費に加え、報酬を支払うことになります。報酬の金額は自由に設定できるため司法書士事務所により異なりますが、所有権移転のみの場合で3〜7万円ほどが目安です。
固定資産税・都市計画税
不動産を所有する人が支払う税金が、固定資産税および都市計画税(都市計画区域の場合)です。これらの税金はその年の1月1日時点の所有者に請求されますが、一年分の税額を日割り計算して、契約日以降の分を精算するのが一般的となっています。
印紙税
印紙税とは、不動産の売買契約書を作成するときにかかる税金です。契約書に記載された金額に応じて印紙税額が定められており、印紙を購入して契約書1通ごとに貼り付け、消印(印紙と契約書にまたがる形での押印)をします。令和6年3月31日までは、軽減税率の対象です。
不動産譲渡契約書および建築工事請負契約書の印紙税額(抜粋)
※適用期限:令和6年3月31日まで
注文住宅の諸費用【建物建築時】
登記費用
注文住宅を新築するときに、所有権保存登記を行います。新築住宅には固定資産税評価額がまだないため、建物の種類や面積から課税標準額が算出されます。
【所有権保存登記 登録免許税】=課税標準額 × 税率
自分が住むための家はマイホームの軽減特例の対象です。一定の認定基準を満たす住宅は、さらに税率が低くなります。
新築住宅の保存登記
※適用期限:令和6年3月31日まで
印紙税
土地の購入時と同様に、印紙税がかかります。なお、同じ内容の契約書を複数作成するときも、それぞれに印紙の貼付が必要です。
水道加入金
「水道施設負担金」「給水申込納付金」などと呼ばれることもあります。新たに水道を引くときに水道局に支払う費用です。金額は自治体により異なり、不要な地域もあります。
・水道加入金の一例
千葉県(一部を除く):10万円(税抜)〜
埼玉県さいたま市:8万円(税抜)〜
神奈川県横浜市:15万円(税抜)〜
東京都全域:不要
地鎮祭の費用
地鎮祭とは、家を建てる前に土地の神様を祀り、工事の安全を祈る儀式です。費用の内訳は神主さんに支払う初穂料やお供え物など、総額で10万円ほどかかります。建築会社によっては地鎮祭の費用が建築費用に含まれている場合もあるので、担当者に確認しておきましょう。
注文住宅の諸費用【住宅ローン関連】
保証料
金融機関によっては、住宅ローン契約の際に保証会社との契約および保証料の支払いが必要になります。この契約は、もしも債務者が住宅ローンを支払えなくなったとき、金融機関に保証会社がローン残債を一括返済する仕組みです。なおこの場合でも、ローン残債がなくなるわけではありません。
保証料の金額は金融機関やローンの契約内容により異なりますが、おおまかな目安は借入額1,000万円あたり20万円ほどです。
保証料の支払い方法は、初期費用として一括で支払う「外枠方式」と、住宅ローンの金利に上乗せするかたちで支払う「内枠方式」があります。内枠方式のほうが、総支払額が高くなるケースが多いです。
事務手数料
住宅ローンの契約の際にかかる事務手数料です。事務手数料の相場は、3万円(税抜)あるいは「借入金額×2.0%(税抜)」となっています。保証料が必要な金融機関は、事務手数料がかからないケースが多いです。
登記費用
住宅ローン契約にあたり、金融機関が不動産に抵当権を設定する際にかかる登記費用です。自分が住むための住宅は、マイホーム軽減特例の対象になります。
【抵当権設定登記 登録免許税】=借入額 × 税率
※適用期限:令和6年3月31日まで
火災保険料・地震保険料
大切な住まいの「もしも」に備えて、保険に加入しておきましょう。保険料は住宅の所在地や、建物の構造や面積、保障の範囲により大きく異なってきますが、一般的な木造一戸建てであれば、ベーシックな契約内容で火災保険料と地震保険料を合わせて年間10万円ほどが目安となります。
諸費用のほかにかかる費用
手数料や税金といった諸費用のほかにも、新生活の準備のための費用がかかります。
・引越し費用
・仮住まい費用(建て替えの場合)
・家具・家電・カーテン等の購入費用
諸費用ローンとは?
諸費用は基本的に自己資金(現金)で用意しますが、もし足りなければ諸費用ローンを利用する手もあります。住宅ローン契約者を対象とした、住宅取得に関する諸費用のためのローンです。諸費用も住宅ローンに組み込める金融機関もあります。
まとめ:諸費用も忘れずに
注文住宅を購入する際の諸費用について解説しました。土地と建築費用のみで考えていると、後から諸費用がかかることが分かり、思いのほか高額になってしまうことがあります。「こんなにかかるとは思わなかった」と困惑しないよう、諸費用も忘れずに資金計画を立てましょう。
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