暮らしが洋式になっても、長く愛されてきた和室。畳にごろりと寝転ぶことができ、客間にも寝室にもフレキシブルに使える空間です。そんな和室の各部位の名称や役割をご存知ですか?この記事では昔ながらの和室の名称や、畳の用語について解説します。
和室の用語
【1】長押(なげし)
柱と柱の間をつなぐように水平方向に設置する化粧材です。
【2】鴨居(かもい)
障子や襖などの引き戸をはめ込むための溝を彫った上枠です。
【3】小壁(こかべ)
天井と長押の間にある高さ30〜50cmほどの壁のこと。
【4】廻縁(まわりぶち)
天井と壁の境目に設置する見切り材です。
【5】敷居(しきい)
障子や襖などの引き戸をはめ込むための溝を彫った下枠です。鴨居と対になっています。
【6】落し掛け(おとしがけ)
床の間の小壁の下に設けられる化粧材の横木です。
【7】床の間(とこのま)
和室の上座(身分が高い人が座る席のある側)に位置する、周囲よりも一段高くなっている空間で、掛け軸や花を飾ります。
【8】床柱(とこばしら)
床の間の脇に設けられる化粧柱のこと。価値の高い銘木を用いることが多いです。
【9】床板(とこいた)
床の間の床に張る板です。畳が張られる場合は「床畳」といいます。
【10】床框(とこがまち)
床の間の立ち上がり部分に設けられる化粧板のこと。床板の端を隠す役割もあります。
【11】地袋(じぶくろ)
床に接する場所に設けられた造作の戸棚です。開口部は小さな襖となっています。
【12】炉(ろ)
畳の下に備え付けられた小型の囲炉裏(いろり)です。茶席でお湯を沸かすために用いられます。
畳の用語
畳表(たたみおもて)
畳表は、「い草(イグサ)」という植物の茎と麻糸で織ったシート状のものです。畳の土台に畳表を張り、糸で固定していきます。自然素材ならではのやさしい感触と爽やかな香りが魅力です。近年は耐久性が高くメンテナンスしやすいビニールや和紙を用いた畳表も登場しています。国産い草の畳表は8割以上が熊本県産です。
畳縁(たたみべり)
畳の縁(へり)の摩耗や畳同士のすき間を防ぐために取り付けられている、細長い布です。通常、長方形の長い辺のみに付けます。さまざまな色や柄のものがあり、古くは身分により使い分けられていることもありました。
畳框(たたみかまち)
畳框とは、畳縁が取り付けられていない短い辺の側面です。強く縫い包めることで角が丸くならないよう、畳表の内側に板を入れています。
畳床(たたみどこ・たたみとこ)
畳の芯材を畳床といい、この表面に畳表が張り付けられています。伝統的な畳床はよく乾燥させた稲わらを重ねて圧縮したものです。近年は、ポリスチレンフォームなどのボード建材を組み合わせたものが多く使用されています。
畳の種類・サイズ
畳の縦横の比率は1:2になりますが、寸法については地域によりさまざまな種類があり、統一された規格はありません。下記表は代表的な畳の種類です。
このほか一部地域やメーカーで使用されているサイズや、居室の広さに応じてオーダーメイドされることもあります。なお、間取り図などで居室の広さを示す「○畳(帖)」という表記については、不動産広告の取り決めで「1畳(帖)=1.62㎡以上」と定められています。
畳の交換方法
新品の畳は青々した草色ですが、使用していくうちに黄金色に経年変化していきます。使用年数や劣化状況により、いくつかの交換方法できれいな状態に戻すことが可能です。
裏返し
畳表を外して裏返し、張り直す方法です。畳縁は新品のものに交換します。交換時期の目安は設置後2〜4年。新品同様の青々とした状態に戻すことができます。
表替え
畳表を外して、新しいものに交換して張り替える方法です。一度裏返しをした畳表のほか、裏返しをせずに長期間経ってしまった場合や、擦り切れてきてしまった場合などもこちらを選択することになります。
新畳(畳替え)
歩いたときの感触が変わってきた、波打ちが出てきた、畳と畳のすき間が目立つようになった、そう感じるようになったら畳床ごと新調を検討する時期です。新調時期の目安は10〜20年ほどですが、畳床の品質やメンテナンス次第(半年に一度天日干しをするなど)では30年以上持つこともあります。
まとめ:和室づくりの参考に
日本人の心になじむ和室の用語や、畳の種類・交換方法についてご紹介しました。和室の各部名称を知れば、魅力をもっと身近に感じられるはず。家づくりに和室を取り入れるときの参考にしてくださいね。