「平屋(ひらや)」は、一階建ての住宅のこと。新築戸建といえば二階建て、という先入観はありませんか?近ごろ、平屋住宅が注目を集めています。その理由を知っていただくために、建築事例やメリット・デメリットをご紹介します。
平屋の建築事例5選
【事例1】効率的な家事動線の平屋

ブラックのタイル貼りで仕上げた、重厚な印象の平屋住宅。ウッド調の玄関ドアと片流れ屋根がデザインのアクセントとなっています。

リビングを中心に住まいを回遊できる、「遠い部屋」のない間取り。主寝室とランドリールームの間にウォークインクローゼットを設けるなど、効率の良い家事動線にこだわりました。
【事例2】巣立ちを見据えた平屋

約160坪の敷地に建つ、間口18m超の伸びやかな平屋の住まい。広い屋根に太陽光パネルを搭載した、オール電化住宅です。

天井を通常よりも20cm高い2m60cmに仕上げ、空間のゆとりを強調。いずれ独立する子どもの部屋はシンプルに仕上げ、家族が過ごす時間が長いLDKの心地よさにこだわりました。子育て中の現在はもちろん、将来も見据えた住まいです。
【事例3】ウッドデッキとつながる平屋

南向きのLDKが、広々としたウッドデッキへとフラットにつながる平屋住宅。当初は二階建てをご計画でしたが、敷地の広さと予算から平屋を選択することに。住まいの中央に廊下を設け、プライベートとパブリックをエリア分けしています。

通常よりも高さを20cmアップした天井と大開口サッシによる開放的な空間。ナチュラルでリラックス感のある西海岸風スタイルがお好みのため、ブルーのアクセントクロスやヘリンボーン柄をインテリアに取り入れています。
【事例4】独創的なフォルムの平屋

一見平屋住宅に見えない、どっしりとしたフォルムが独創的な住まいです。面積の広い中央の外壁は2種類のタイルで貼り分けて、メリハリを演出。大きな敷地を活かし、奥行きは取らずに横への広がりを意識しています。

高窓から光が降り注ぐ吹き抜けリビングを中心に、小上がりの和室やDKがつながる間取り。ゆとりある住まいですが、通路脇に書斎を設けるなど、空間を無駄なく活用するプランニングとなっています。
【事例5】平屋を終の棲家に

住み替えにあたり、当初は都心のマンションを検討していたというご夫婦。環境が良く広い土地を見つけられたこともあり、終の棲家として平屋を建てることに。もともとマンション住まいだったこともあり、平屋の暮らしは想像しやすかったそうです。

リゾートのような開放感を演出する勾配天井のリビング。伸びやかな天井は、マンションでは実現が難しいポイントです。高い住宅性能と太陽光発電設備により、ゼロエネルギーの暮らしを実現しています。
平屋のメリット
コミュニケーションを取りやすい
平屋は居室が上下に分かれていないため、空間の連続性を重視した住まいづくりに向いています。居室同士の距離が近く、LDKを中心とした家族の気配をいつも感じられるような間取りにしやすいです。
空間を無駄なく活かせる
住まいに階段を設置する場合、階段本体に加えて廊下やホールなど、居室としては使えない空間が生じます。平屋はその分の空間を住空間や収納として無駄なく活かすことが可能です。階段のレイアウトを考慮する必要がないため、プランニングの自由度が高くなります。
バリアフリー設計しやすい
平屋は階段がなく、マンション同様にワンフロアで暮らしが完結します。階段の踏み外しや転落リスクがなく、段差のないバリアフリー設計にしやすいため、お年寄りや体が不自由な人も暮らしやすい住まいづくりに向いています。
メンテナンス費用が抑えられる
二階建て以上の建物では、外壁や屋根のメンテンナスの際に足場を設置する必要があり、組み立て・解体・運搬費用がかかります。平屋であれば足場なしの施工も可能で、その分のコストを抑えることができ工期も短くなります。工事の内容によっては平屋でも足場が必要なケースがありますが、二階建てに比べると安価です。
平屋のデメリット
広い敷地が必要
平屋は二階フロアがない分、どうしても住まいの規模がコンパクトになりやすいです。二階建て住宅と同等以上の床面積を確保するためには、広い敷地が必要になります。
坪単価が割高になる
住宅を建てる際には、建築面積(一般的に1階の広さ)に応じて地盤調査や基礎工事の費用が掛かります。2階部分にはそれらの工事費用が掛からないため、1階に比べてコストは割安です。平屋は1階のみで構成されることから、床面積のすべてに基礎工事の費用が掛かり坪単価は割高になります。坪単価を実質的に下げる工夫としては、デッドスペースがなく空間をフル活用できる間取りにすることが大切です。
日当たりが悪くなることがある
平屋は建物が低いため、住宅密集地などで周囲に建物がある土地では、住まい全体の日当たりが悪くなってしまう場合があります。天窓や高窓を設けて、高い位置から光を取り込むようにしましょう。
まとめ:平屋はマンション派にもおすすめ
ゆったりとした空間づくりがしやすい平屋住宅。階段を昇り降りする必要がないため、生活動線をコンパクトにすることができます。階段がなくワンフロアで暮らしが完結することから、バリアフリー設計にも向いています。戸建てからマンションへの住み替えをお考えであれば、平屋住宅も選択肢に加えてみてはいかがですか?