大きな目としなやかな体、ぷにぷにの肉球。猫のために家を建てたい!という方も多いのではないでしょうか?人も猫も快適に暮らすためには、猫の習性を理解することが大切。この記事では、猫と暮らす家づくりの間取りのコツやアイデアをご紹介します。
完全室内飼いがスタンダード
猫は高いところや狭い空間、そして暖かい場所を好みます。これは野生の習性が今も色濃く残っているから。棚の上や家具の隙間に入り込んだり、外を眺めたり、日なたでくつろいだりするのは、猫ならではの行動です。こうした特徴を理解することで、これから猫を迎える方も、快適な住まいを整えることができます。
また、かつて猫は外飼い(放し飼い)が一般的な時代もありましたが、現在は完全室内飼いが推奨されています。完全室内飼いにすることで、糞尿や鳴き声による近隣トラブルを防ぎ、虐待・交通事故・感染症といったリスクから愛猫を守ることができます。また、ペットフード協会の2024年調査によると、完全室内飼いの猫の平均寿命は16.34歳で、外飼い猫の14.24歳に比べて2.1歳長生きだそうです。
参考:全国犬猫飼育実態調査│(社)ペットフード協会
猫と人が快適に暮らす間取りのポイント
縦を意識して運動不足を解消
室内飼いの猫がしっかりと運動できるよう、猫の動線を確保しましょう。祖先が木登りをして暮らしていたこともあり、猫は高いところが好きで、小さなステップでも身軽に上っていきます。横方向よりも縦方向を意識すれば、それほど広さがなくても大丈夫です。住まいのデザインに溶け込んだキャットタワーやキャットウォーク、吹き抜けを活かした猫専用階段、猫の足場を設けた兼用本棚などを設置してあげたいですね。
日当たりの良い居場所をつくる
猫は日向ぼっこが大好きなので、日当たりの良い場所に猫の居場所を作ってあげましょう。また、窓から外を眺めること好きです。高窓には猫が上れるステップを設けて、いつものんびりと外を眺めることができるようにするのもおすすめです。
脱走対策はしっかりと
玄関で宅配便の受け渡しをしたり、バルコニーで洗濯物を干したりするときに、猫が脱走してしまうことがあります。特に、野良生活をしていたことがある保護猫や、好奇心が強い性格の猫は外に出たがる傾向が強いので要注意。勢いで飛び出したところパニックになり、そのまま迷子になってしまうこともあります。
外につながるドアや窓の間に、扉を設けると安心です。猫はジャンプ力が高く、人間の身長ほどの壁を駆け上がったりよじ登ったりすることもできるので、天井までの高さが必要です。格子扉なら、空気の流れを遮らずに間仕切りができます。
猫が入れない空間を設ける
猫はいくら「ダメ」と言われても、棚に飾られている物を片っ端から落としたり、衣類を毛だらけにしたりすることがあります。そのため、猫の性格と飼い主さんのライフスタイルによっては、仕事場やウォークインクローゼットなど、猫が入れない空間の確保を検討しても良いでしょう。
猫は手先が器用なため、一般的なレバーハンドルのドアや引き戸は簡単に開けてしまうことが多いです。猫に入ってほしくない場所のドアには、握り玉タイプのドアノブ、押して開けるワンタッチドアハンドル、簡易型の鍵などを選択肢に加えてみてください。
独立キッチンを検討する
猫のキッチンへの侵入やいたずらに悩む方も少なくないもの。キッチンでは火や刃物、さまざまな食材を扱うため、特に食いしん坊な猫や好奇心の強い猫にとってはケガや誤食のリスクが高い場所です。近年の間取りは開放的なLDKが主流ですが、あえて独立型のキッチンを採用するのもひとつの選択肢。扉を設けて猫の侵入を防げるようにすれば、安心して料理に集中でき、衛生面でも安心です。
トイレの場所と換気計画
猫が落ち着いて用を足せる場所に、トイレ置き場を確保しましょう。猫は待ち伏せ型の狩りをする動物のため、体臭はほとんどしません。しかし排泄物の匂いは強いため、トイレの換気計画が大切です。居住スペースにトイレの臭いが広がらないよう、低い位置に換気扇を設けるのがおすすめです。また、すぐ側に収納を設ければ、掃除道具やかさばる猫砂のストックをしまっておくことができます。
人間用のトイレのそばに猫トイレを置けば、排泄物の処理がラクにできます。なお、一部の市町村ではペットの糞を下水に流さないよう指導している場合もあるため、処分方法はお住まいの自治体の方針に従ってください。
カーテンのぼりを防ぐ
活発な性格の猫がカーテンやブラインドによじ登り、ボロボロにしてしまうケースも少なくありません。そうした場合、思い切って窓まわりにカーテンを設けないという選択肢も有効です。たとえば、外からの視線が入りにくい配置の窓や、すりガラス加工の窓を取り入れることで、カーテンを設けなくてもプライバシーを確保することができます。既存の窓であれば、すりガラスタイプの目隠しシートを貼るのもおすすめです。
猫が安心・安全に暮らせる工夫
猫の居場所を分散させる
2匹以上の猫と暮らす場合、猫同士の相性に配慮した空間づくりが大切です。性格の合わない猫がいる場合、居場所を分散させる工夫をしましょう。離れた場所に複数のくつろぎスペースを設けてあげることで、猫がそれぞれ好きな場所で過ごせるようになり、上手に住み分けできます。
老猫のためのバリアフリー化
猫の寿命が伸びたことで、高齢化に応じた工夫も必要になってきます。関節や筋肉の衰えから運動能力が低下するため、若いうちには何の問題もなかった段差が負担になることも。トイレに段差があると、間に合わずに失敗してしまうケースもあります。老猫と快適に暮らすためには、年齢や体力に応じたバリアフリー化が大切です。例えばベッドやトイレの出入り口に段差をつくらない、スロープを設ける、滑りにくい床材を採用するなどが挙げられます。安全で負担の少ない住環境づくりが、猫の健康寿命を伸ばすことにつながります。
掃除・収納の工夫
内装材は掃除のしやすさを重視
猫は比較的吐き戻しが多い動物のため、床材は水分に強く掃除がしやすい素材がおすすめです。また、春と秋は毛が生え変わる換毛期で、特に抜け毛が多くなります。床の段差や引き戸のレール等に溜まりがちなため、フラットなバリアフリータイプがおすすめです。
※頻繁に吐く場合や吐瀉物の様子が普段と違う場合は、すぐに動物病院に相談してください。
猫の食事場所を決めておく
猫が安心して食事をとれる場所を計画しておきましょう。理想は、静かで落ち着ける、直射日光が当たらない場所。床材は食べこぼしや水はねを掃除しやすい素材がおすすめです。飼い主さんの目が届きやすい場所にすることで、食欲の変化や体調不良にも気づきやすくなります。清潔で快適な食事スペースは、猫の健康を守るうえでも大切な要素です。
隠す収納を多く設ける
猫の性格や年齢にもよりますが、オープン棚はキャットステップになりがちです。そのため、いたずら対策・抜け毛対策として、扉の中や引き出しに隠す収納がおすすめになります。コレクションを並べて飾りたい場合は、ガラス扉のショーケースタイプにすると安心です。
また、猫と暮らす家では誤飲事故の防止も大切です。猫が小さな部品や紐類などを誤って飲み込むと、腸に詰まり命に関わることも。細々としたものをすぐに片付けられる収納を設け、住まいをキレイに保つことが猫の安全にもつながります。
爪とぎ対策を考える
猫か狩りに欠かせない爪を鋭く保つために、壁や家具を引っ掻いて爪とぎをします。本能なのでやめさせることはできませんから、爪を研いでも良い場所を用意してあげましょう。キャットタワーの一部に荒縄やカーペット素材を巻きつけて爪とぎ仕様にしたり、猫がよく過ごす場所の壁に市販の爪とぎが設置できる場所を設けたりします。爪とぎはいずれボロボロになるので取り替えられるようにしましょう。そのほか、どうしても爪を研いでほしくない場所の壁には、保護シートを貼る、爪が立たない素材(キッチンパネルなど)で腰壁を作るという方法もあります。
ペットドア・猫穴をつける
ドアの向こうで鳴くので開けてあげたのに、部屋に入ったと思ったらまたすぐに出て行きたがる…家じゅうのドアが開けっ放し…猫との暮らしでよくある光景です。ドアや壁に猫専用のペットドアや猫穴を設ければ、飼い主さんがその都度開け閉めしなくても、自由に出入りすることができます。
暖かな家は人も猫も健康に
猫は、尿路結石症や膀胱炎などの泌尿器系疾患にかかりやすいです。祖先が砂漠地方の出身のため、冷えに弱い傾向があります。寒くて運動量が低下する、飲む水の量が減る、トイレが寒いので排尿を我慢する、といった要因が病気につながりやすいです。住まいを暖かく快適にすることは、猫が快適に過ごせるだけでなく、健康リスクの軽減にもつながります。
ウィザースホームは、標準仕様で高断熱・高気密をかなえるツーバイシックス工法。家のどこにいても温度差が少なく、猫と人、どちらにとっても心地よい住まいを実現できます。
自由設計でかなえた、猫と暮らす家の実例4選
吹き抜けにキャットステップがある家
吹き抜けリビングにキャットステップを設けた実例です。カーテンを設置しなくても外からの視線が気にならないように、窓の位置を設計しています。
窓際にキャットウォークがある家
こちらは、寝室の窓際にキャットステップとキャットウォークを設けた実例です。いつも高窓から景色を眺めることができます。
キャットステップを設置する場所にあらかじめ補強下地を入れているため、安全に上り下りできます。
設計の際に猫トイレの設置場所も決めました。猫砂のストックやキャリーケージなどもすっきりしまえるように、可動棚を備えています。
陽当りの良い広々ヌックがある家
こちらは陽当りの良い2階リビングの一角に、猫用のスペースを設けた実例です。キャットタワーの最上段から高窓に上り、景色を眺められます。
玄関の地窓も、愛猫のお気に入りスポット。庭に来る鳥の様子を眺めているそうです。
犬と猫が楽しく暮らす家
愛犬2匹・愛猫4匹とともに暮らすご夫婦の住まい。壁面のキャットステップや梁を利用したキャットウォークなど、猫が楽しく暮らせる工夫が随所に盛り込まれています。
まとめ:自由設計で広がる猫との暮らし
猫はとても気まぐれ。人間の心を知ってか知らずか、爪とぎ対策をしたのに相変わらずソファでも爪を研ぐ…キャットタワーよりも本棚で寝ていることが多い…そんなこともあるかもしれません。でも、そんなところも猫の魅力。猫の安全や健康を損ねないわがままなら、ある程度は受け入れる気持ちも大切です。快適な住まいで、猫との暮らしを楽しみましょう。
猫のための家を建てたいお考えなら、ウィザースホームの設計相談会に参加してみませんか?また、ルームツアー動画では、猫と暮らす住まいの工夫や、設計のポイントをご紹介していますので、ぜひご覧ください。