住宅会社の広告やサイトで見かける「2,000万円台で建てられる家」という言葉。魅力的に感じる一方で、「本当にこの金額で家が建つの?」と疑問に思ったことはありませんか。実は、この「2,000万円」という数字が指している内容は、住宅会社によって異なる場合があるのです。この記事では、注文住宅の価格の考え方や費用の内訳からコストダウンのポイントまで、価格表示の正しい見方を解説します。
注文住宅の価格表示「◯◯万円」は何の金額?
住宅会社の広告で「2,000万円台の家」「坪単価○万円〜」などと表示されていても、すべて同じ基準で記載されているわけではありません。多くのケースでは「建物本体価格」、つまり基礎工事・構造・屋根・外壁・内装・標準的な住宅設備など、家そのものにかかる費用を指しています。
そして、一般的に本体価格には以下のような費用は含まれていません。
- ・給排水・ガスなどの屋外配管工事費
- ・外構工事費(駐車場やフェンス、庭づくりなど)
- ・地盤改良費(土地の状態によって必要)
- ・諸費用(申請費用・手数料・保険料など)
- ・照明器具やカーテンなど
こうした部分を考慮せずに価格を比較すると、実際の建築総額に大きな差が生まれます。ハウスメーカーが提示している価格を見る際には「この金額には何が含まれているか」を確認することが大切です。
実際にかかる注文住宅の費用内訳
注文住宅を建てる際に必要となる費用は、大きく分けて次の通りです。

上表の内容はあくまで一例です。住宅会社ごとに価格の表記方針が異なるため、総額でいくらになるのかを確認しましょう。
なお、ウィザースホームでは
「建物金額(本体価格)」+「諸経費・付帯費用」=「請負金額(総価格)」
として提示しています。
→諸費用の詳細については、こちらの記事も参考になります。
関連記事:注文住宅の諸費用。建築費以外に必要なお金の内訳は?
なぜ住宅会社ごとに価格が違うの?
同じ広さ・似た間取りなのに、会社によって数百万円の差が生じるのはなぜなのでしょうか?その理由は、価格表示の方法だけでなく、標準仕様の違いにもあります。
たとえば、
- ・A社は照明やエアコンが標準仕様に含まれている
- ・B社は照明やエアコンをオプション扱いにしている
というように、見積もりの前提条件が異なるのです。
また、設備グレード(キッチンや浴室の仕様)や、設計の自由度、保証制度なども価格に影響します。そのため「坪単価」だけで比較してしまうと、中身の違いを見落とす可能性があるのです。
たとえば、サイディングの外壁が標準仕様の住宅の場合、タイル外壁は追加オプション扱いとなり、総額が大きくアップしてしまうケースも少なくありません。その点、ウィザースホームでは外壁総タイルを標準仕様としているため、追加費用が発生せず安心です。さらにタイルは耐久性・防汚性に優れており、塗り替えの必要がないため、長期的なメンテナンスコストを抑えられるというメリットもあります。
関連記事:【外壁の選び方ガイド】タイル・サイディング・塗り壁を比較!
コストダウンの考え方と注意点
家づくりの予算を抑えたいときには、やみくもに安いものを選ぶのではなく、「何を優先するか」を整理することが大切です。ライフスタイルに合わせて、必要な部分・譲れる部分の優先順位を決めておきましょう。コストダウンは「削る」のではなく、「選ぶ」という考え方で取り組むと満足度の高い家づくりにつながります。
コストを抑えられる部分
【間取りや形をシンプルにする】
シンプルで箱型に近い形の総2階建ては、材料や施工の効率化によりコストを抑えやすいです。外観の凹凸を少なくし・1階と2階の面積を揃えることで、施工費や建築資材を最小限に抑えることができます。また、屋根の形状は片流れ屋根が最もシンプルで施工しやすく、コストパフォーマンスが良いです。間取りについても、水回り(キッチン・浴室・洗面など)をまとめると配管工事の距離が短縮され、コストダウンにつながります。
【設備・素材のグレード調整】
特にキッチンや浴室などの水回りの設備は、グレードの差で数十万円単位の差が出ます。必ずしも「高級仕様=快適」とは限らないため、機能性とデザイン性のバランスを見極めることが大切です。
【内装をシンプルにする】
内装は選択肢が多いため、こだわり出すと費用がふくらみやすい部分です。こだわる場所と削る場所のメリハリを付けることで、完成度を高めながらコストダウンできます。
●クロスや床材は標準仕様の範囲から選ぶ
板張りの壁やアクセントクロスはコストアップ。できるだけ同じクロスで仕上げるとコストダウンになります。
●部屋や収納の扉の数を減らす
ウォークインクローゼットやパントリー等、頻繁に出入りする場所には扉を付けないという選択肢もあります。ただし場所によっては不便になる可能性があるので注意しましょう。必要に応じて目隠ししたい場所には、ロールスクリーンの採用もおすすめです。
●照明をやみくもに設置せず、必要な場所のみに設ける
コストを削ると後悔しやすい部分
【断熱性能・耐震性能などの基本構造】
断熱性能や耐震性能といった家の基本性能は、後から改善するには大規模な工事が必要で、費用や手間が大きくかかります。断熱性能が低い住まいは冷暖房効率が低いため光熱費がかさむ可能性がありますし、耐震性能はいざというときの安全に直結します。住むほどに価値を実感する部分のコストカットはおすすめしません。むしろ、住宅性能を高めることでランニングコストが抑えられるため、長期的なコストパフォーマンスは向上するといえます。
【配線・コンセント位置・収納計画】
生活動線に大きく関わる配線やコンセントの位置は、後悔しやすいポイント。コンセントが足りない、スイッチが使いづらい、収納が足りないといった問題は、後から改善するには大掛かりな工事と費用が必要になります。特に近年は家電の種類や数が増えているため、コンセントは多めに設置しておくのがおすすめです。
関連記事:失敗・後悔しない!スイッチ・コンセント位置の決め方ガイド
【メンテナンス性】
安価な素材や設備は初期費用を抑えられますが、メンテナンスの頻度が高くなる場合があります。たとえば、外壁材の塗り替えが頻繁に必要だったり、設備の寿命が短かったりすると、修理・修繕費用が高くつくことに。また、見た目が荒れていてメンテナンスが行き届いていない家は、空き巣などのターゲットにされやすい傾向があります。
価格が変動する背景にも注目しよう
近年、住宅価格は全国的に上昇傾向にあります。原因は、建築資材の世界的な高騰と人件費の上昇です。そのため、数年前の建築実例と同じ仕様の家を、当時と同じ価格で建てることは難しくなっています。
なお、完全オーダーメイド型の注文住宅だけでなく、間取りや仕様をあらかじめ設定した「規格住宅」という選択肢もあります。規格住宅は設計・施工の効率化によって、品質を保ちながら価格を抑えています。住まいに求めるスタイルとコストバランスを見極め、自分たちに合った方法を選びましょう。
まとめ|価格の「見せ方」を知り、納得の家づくりを
注文住宅の表示価格を比べる際には、その金額にどこまで含まれているのかを確認することが大切です。広告価格を参考にしつつ、総額で比較しましょう。見積もりの段階で「何が含まれているか」「オプションになる部分はどこか」を確認し、不明な点はその都度しっかりと確認しましょう。また、コストダウンは単なる節約ではなく、自分たちの暮らしに本当に必要な価値を見極める作業です。価格を比べるだけでなく、何を大切にしたいかを明確にすること。それが満足度の高い家づくりへのいちばんの近道です。



