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2024.02.10

実例で解説する、二世帯住宅のおすすめ間取り

目 次

ひとつ屋根の下、ふたつの世帯が一緒に暮らす「二世帯住宅」。親世帯と子世帯がお互いに助け合いながら生活することができます。二世帯住宅は間取りのバリエーションが大変豊富ですが、いずれも両世帯で共有する部分と個人のスペースをどう配分するかがカギになります。この記事では、二世帯住宅の種類や間取りのポイントを解説。実際の建築実例もご紹介します。

二世帯住宅のタイプ

二世帯住宅は、暮らしをどこまでシェア(共有)するかによって「完全同居型」「部分共有型」「完全分離型」の3タイプに分けることができます。

完全同居型【暮らしシェア率80%】

昔ながらの二世帯同居スタイルです。寝室などのプライベートな空間を除き、LDKや浴室など、住まいのほとんどの部分を共有する暮らし方になります。家族の密なコミュニケーションが取りやすい一方、間取りによってはプライバシーの確保が難しい場合があります。

部分共有型(部分分離型)【暮らしシェア率10〜70%】

住まいを部分的に共有(分離)するタイプの二世帯住宅です。このスタイルは、暮らしをどこまで共有するかにより、さまざまな間取りのバリエーションが考えられます。例えば、玄関のみを共有する【暮らしシェア率20%】、LDKは共有して浴室を分ける【暮らしシェア率50%】、など。家族のライフスタイルやプライバシー意識に合った間取り計画が大切です。

完全分離型【暮らしシェア率0%】

玄関から水まわりや居室まで、すべてが完全に分離された間取りです。それぞれの世帯が完全に独立した空間で暮らすことができるため、プライバシーを最重要視する家族に適しています。なお、キッチンや浴室などの設備がすべて2世帯分必要なため、建築コストは3タイプのなかで最も高額になります。

二世帯住宅の間取りを考える際のポイント

プライバシーの確保

親世帯と子世帯の仲がどんなに良好でも、ときには一人で考え事をしたり、夫婦水入らずの時間を過ごしたりする時間が欲しくなるもの。暮らしシェア率が髙い二世帯住宅でも、書斎や寝室といったプライバシーを守れる空間は個別に確保しましょう。「個室には無断で入らない」といったルールを守ることも大切です。

生活リズムの違い

世帯ごとの生活ペースを乱さない工夫も必要になります。親世帯と子世帯の就寝時間や起床時間が大幅に違う場合、生活音がストレスになりやすいです。例えば、生活音の出やすいリビングと親世帯の寝室を離すなどの工夫を考えましょう。

経済的な分担をどうするか

部分共有型の場合、共有する設備の光熱費の負担をどうするのかをしっかりと決めておきましょう。キッチンや浴室のメーターを分けずに、親世帯(あるいは子世帯)がすべて支払うことにした場合など、「やっぱり別にしたい」と気が変わっても、配管をあとから分けるには大変な手間と費用が掛かります。

家事の分担をどうするか

完全分離型以外の二世帯住宅では、家事をおもに行うのは誰なのか、家族でどこまで分担するのかを想定しながら間取りを決めていきましょう。この場合、立場上はっきりと意見を言いにくい人(お嫁さんなど)の考えを尊重することが大切です。

バリアフリー対応

親世帯の将来も想定した住まいづくりをしましょう。現在は問題なく生活していても、年齢とともに階段の昇り降りが負担になったり、トイレと寝室の距離が問題になったりすることがあるためです。そのような点に配慮した間取りにしておけば、将来的に大掛かりなバリアフリーリフォームをしないで済む可能性があります。

二世帯住宅の実例紹介

吹き抜けLDKの二世帯住宅【暮らしシェア率10%】

こちらは、生活空間を左右に分けたタイプの二世帯住宅です。玄関をはじめLDKや浴室などすべてが分かれていて完全分離型に近いのですが、1階ホールのドアで繋がっているため、気軽に行き来することができます。

ゆったりとした子世帯のリビングに、二世帯が集まることが多いそうです。リビング階段を設けているため、お子さまが帰宅したときに必ずLDKを通る間取りとなっています。

親世帯のLDKには、お父様の念願だった吹き抜けを設けて、伸びやかな空間を実現しています。

勾配天井の二世帯住宅【暮らしシェア率10%】

生活空間を上下に切り分け、1階に親世帯、2階に子世帯が暮らす二世帯住宅です。こちらも玄関をそれぞれに設けた完全分離型に近い間取りですが、1階のホールで繋がっています。

子世帯のLDKは屋根勾配を活かした高い天井が特徴。普段は別々に暮らしていますが、時おり一緒に食事をすることもあるそうです。

親世帯の間取りは、LDKに隣接するように主寝室や水まわりを配置し、動線をコンパクトにまとめています。子世帯のお孫さんが、こちらで宿題をすることもあるそうです。

バリアフリーの二世帯住宅【暮らしシェア率20%】

こちらは玄関のみを共有した二世帯住宅。親世帯は1階、子世帯は2階で暮らしています。親世帯の居住空間はバリアフリー設計で安心です。

子世帯のダイニング・キッチン。フローリングはブラックチェリー、壁にはレッドシダーの壁パネルを張りました。木に包まれる温かみを感じる空間に仕上げています。

勾配天井を活かした伸びやかな子世帯のリビング。ロフトの天井には青空のクロスを張り、ちょっとした遊び心をプラスしています。

浴室を分けた二世帯住宅【暮らしシェア率50%】

こちらは、玄関とLDKを共有した二世帯住宅です。1階に親世帯、2階に子世帯が暮らしています。

奥様のご両親との同居ですが、両世帯の生活リズムが異なることから完全同居は難しいと判断。共用のリビングとは別に子世帯のリビングを設け、浴室・洗面室も別に設けました。子世帯のリビングに冷蔵庫や電子レンジを置き、キッチンへ行かずに簡単な食事を取れるようにしています。

お父様が車椅子で生活されていることから、親世帯の暮らす1階は段差を極力なくしたバリアフリー設計となっています。

全館空調の三世帯同居【暮らしシェア率80%】

こちらは完全同居型の住まい。ご夫婦とお子様に加えて、おばあ様・お母様・お姉様、合わせて三世帯が暮らしています。

住まいの中心は広々としたLDK。全館空調のため、24時間365日快適な空気環境が保たれます。家族の持ち物がスッキリ片付くように、収納を多く設けました。

脱衣所・ランドリー・ファミリークローゼットを集約して、衣類に関する家事動線を最短に。家族が多く洗濯物がたくさんあっても、効率的に家事が行なえます。

完全同居の二世帯住宅【暮らしシェア率80%】

こちらは完全同居型の二世帯住宅です。家づくりの打ち合わせには毎回ご両親も参加し、家族全員が暮らしやすい住まいができました。

家族みんなで使えるオープンなペニンシュラキッチン。一緒に作業しやすいように、通路を広く確保しました。奥にあるパントリーも大容量です。

家族が入浴中でも気兼ねなく使えるよう、脱衣所と切り分けた洗面室。スツールに座ってゆっくりメイクできる、ドレッサースペースも設けました。

まとめ:家族の暮らし方や価値観に合わせた二世帯住宅をつくろう

二世帯住宅の間取りには、完全同居・部分共有・完全分離の3種類に分けることができ、特に部分共有型はどこまでを共有するかにより間取りのバリエーションが豊富です。いずれのタイプの間取りでも、家族のコミュニケーションを深めつつ、それぞれのプライバシーを確保することが大切です。今回ご紹介した実例やポイントを参考に、ご家族のライフスタイルや価値観に合った二世帯住宅をつくってください。

「二世帯・多世帯」の建築実例
二世帯の暮らし

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