窓の役割は、光や風を室内に届けることのほか、風景を取り込むという側面も大きいです。しかし風景を楽しむためには、窓を大きくさえすれば良いというわけではありません。この記事では、眺めのよい窓のある住まい実例をご紹介。借景を室内に取り込むコツやポイントをご紹介します。
借景の魅力とは?
「借景(しゃっけい)」とは、もともと造園で用いられる手法で、敷地の外にある自然(雑木林や山など)を庭の構成要素に取り込むことをいいます。借景の考え方は住まいづくりにも応用することが可能で、窓によって風景を絵画のように美しく切り取ったり、空間に広がりをもたらしたりすることができます。風景がどのように見えるかをしっかりと考慮しながら、窓の位置や大きさを計画することが大切です。
眺めのいい家の事例7選
【事例1】和風庭園を望むFIXの地窓
小上がりの空間に、和風庭園を望む窓を設けた事例です。視界を遮る窓枠がないFIXガラス(開かない窓)にすることで、室内が屋外へそのまま続くような空間の広がりを強調。また、床に面した地窓のため、外からの視線が気になりにくいです。
【事例2】本格的な日本庭園が広がる窓
こちらは、先代のお父様がつくった本格的な日本庭園を望む窓。白を基調としたモノトーンのモダンな室内に、緑豊かな風景が引き立ちます。通りに面していない庭のため、大きな掃き出し窓でも視線を気にせずに過ごせます。
【事例3】玄関に広がりを生むFIXの窓
こちらは、玄関ホールに大きなFIX窓を設けた事例です。土間に奥行きをもたせたことと、屋外を取り込む大きな窓を設けたことで、空間の広がりを強調。暗くなりがちな玄関を、明るく伸びやかな空間に仕上げています。
【事例4】和室にアクセントを加える縦長の窓
こちらは、墨色の畳を敷いたモダンな和室。壁の中心に設けた縦長の窓が、まるで掛け軸のように庭の植栽を切り取ります。通りに面した窓ですが、門扉の塀が適度に視線を遮っています。
【事例5】室内と屋外をシームレスにつなぐ窓
こちらの事例では、住まいの裏手に広がる豊かな緑を室内に取り込めるよう、リビングの窓をできるだけ大きく取りました。ウッドデッキと床の高さを揃え、室内と屋外の連続性を強調しています。
【事例6】掘りごたつから眺める窓
こちらは、和室に大きな掃き出し窓を設けた事例。掘りごたつでくつろぎながら、和風庭園を眺めることができるおもてなしの空間です。美しい竹垣は、隣家からの視線を隠すとともに、庭園の趣を引き立てる背景となっています。
【事例7】吹き抜けリビングの開放感をアップする窓
屋根勾配を生かした吹き抜けのリビングに、借景を望む窓を設けました。窓をできるだけ大きく取ることで、広々とした空間の開放感をさらに強調。4つ並んだ高窓が空を切り取り、小気味良いアクセントとなっています。
美しい風景を活かすための窓選びのコツ
窓の大きさと位置
新築住宅の窓を計画する際には、風景の見え方のほか、日差しの入り方やプライバシーにも配慮しましょう。せっかく美しい風景が見えるはずなのに、「外からの視線が気になるから」とカーテン類を閉めっぱなしにしては勿体ないですよね。「隣家の窓と重ならない位置にする」「通りから視線が届く範囲と角度を確認する」などがポイントになります。
また、プライバシーの問題は窓を小さくすることでもクリアしやすくなります。なかでも、床面に接した地窓は視線が届きにくく、ちいさな緑も活かしやすいためおすすめです。
窓枠やカーテンの役割
窓の位置や大きさ意外に、窓枠の存在感も気にしてみましょう。窓を開けた時に、窓枠の見え方が変わってくることも忘れずに考えておきたいポイント。窓を覆うものがカーテンかブラインドかによっても印象が大きく変わります。
また、窓を開ける必要がない場所ならFIXガラスという選択肢もあります。窓枠を額縁に見立てて、風景を絵画のように切り取る窓を「ピクチャーウインドウ」といいますが、特にカーテン類のないFIX窓がおすすめです。
まとめ:借景の考え方を住まいづくりに応用しよう
風景や眺めを楽しみつつプライバシーを守るには、窓の位置や大きさが重要です。風景の見え方だけでなく隣家や通りからの視線の入り方も考慮して、窓の計画を立てましょう。窓枠の種類や、窓を開けた時の見え方によっても印象が変わるため、しっかりと比較してみてください。