光が差し込む窓の向こうに、四季折々の山並みや庭木が広がる――。そんな景色を眺められたら、毎日が少し特別に感じられるはず。とはいえ、ただ窓を大きく設けるだけでは、理想の景色は手に入りません。この記事では、借景を取り入れた住まいの実例や、風景を最大限に活かす窓づくりのコツを紹介します。
借景とは?暮らしを豊かにする風景
「借景(しゃっけい)」とは、もともと造園で用いられる手法で、敷地の外にある自然(雑木林や山など)を庭の構成要素に取り込むことをいいます。借景の考え方は住まいづくりにも応用することが可能で、窓によって風景を絵画のように美しく切り取ることができます。
借景を取り入れることで得られるメリットは大きく3つ。
・開放感:風景に奥行きをもたらし空間を広く見せる
・非日常感:リゾート地のような特別感を日常にプラス
・癒し効果:緑や自然が心を落ち着かせてくれる
このような効果を最大限に引き出すには、窓の位置や大きさ、視線の抜け方を意識した設計が必要です。
借景を最大限に楽しむ家の実例6選
【実例1】青が広がるオーシャンビュー
3階建ての最上階、房総の海を見渡すリビングに大きな窓を設置しました。目線の先には、水平線と空が一枚の風景画のように広がります。日々表情を変える波と雲が、暮らしに開放感と非日常感をプラス。

【実例2】2階リビングからパノラマを臨む
床から天井までのFIX窓を大胆に配置し、緑と空の広がりを一望できる空間に。高台の好立地を活かし、視界いっぱいに広がる景色を日常の背景にしました。

【実例3】どこまでも絶景が広がる窓
リビングから臨む美しい山々を最大限楽しむため、バルコニーの手すり壁をクリアパネルにしました。空間がひとつながりになり、まるで景色の中にいるような感覚を味わえます。

【実例4】四季の緑を取り込むFIX窓
洗面室に設けたFIX窓からは、季節ごとに表情を変える庭木が目に入ります。室内に置いた観葉植物が、屋外の緑との連続性を演出。手洗いの時間さえ、心地よいひとときに。

【実例5】和風庭園を望むFIXの地窓
小上がりの空間に、和風庭園を望む窓を設けた実例です。視界を遮る窓枠がないFIXガラス(開かない窓)にすることで、室内が屋外へそのまま続くような空間の広がりを強調。また、床に面した地窓のため、外からの視線が気になりにくいです。

【実例6】内と外をシームレスにつなぐ大開口の窓
こちらの事例では、住まいの裏手に広がる豊かな緑を室内に取り込めるよう、リビングの窓をできるだけ大きく取りました。ウッドデッキと床の高さを揃え、室内と屋外の連続性を強調しています。

借景を活かす窓の設計ポイント
プライバシーと借景を両立させる
新築住宅の窓を計画する際には、風景の見え方のほかにプライバシーにも配慮しましょう。せっかく美しい風景が見えるはずなのに、「外からの視線が気になるから」とカーテン類を閉めっぱなしにしてはもったいないですよね。
プライバシーを守る工夫としては
・隣家の窓と重ならない位置にする
・通りから視線が届く範囲と角度を確認する
・リビングを2階や3階に設ける
といった方法があります。
空間の意図に合った窓を選ぶ
【地窓】地窓とは、床近くの低い窓のこと。外からの視線が届きにくく、小さな緑も活かしやすいです。

【高窓】高窓なら、視線を避けながら空や遠景を取り込むことができます。

【大開口窓】大開口の窓は、景色を大胆に取り込みたい場合に有効です。外と家のつながりを強調することができ、窓を開けたときの開放感は抜群。

【FIX窓】FIX窓とは、開かない窓のこと。サッシが目立たないため、まるで絵画のように風景を切り取ることができます。

景色を美しく魅せる窓の工夫
窓枠の太さや色、カーテン・ブラインドの形状によっても、景色の見え方は大きく変わります。窓を開けた時の枠の存在感や、室内から外を眺めた際のフレーム感も事前に確認しておきましょう。
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借景を活かした家づくりを成功させるには
借景は“偶然見える風景”ではなく、設計段階から意図して取り入れることが大切です。そのため敷地の条件、周辺環境、間取りの工夫が密接に関わります。
借景に適した土地選び
高台や周囲に自然が残るエリアや、隣地との距離が十分にある場所は借景向きです。将来的な開発計画や樹木の伐採予定などもチェックしておきましょう。季節や時間帯で景色が変わることも視野に入れておくと安心です。
借景と相性のよい間取りの考え方
どの部屋から何を見せたいかを明確にしましょう。例えば、「リビングから山の稜線を望む」「デスクワークの合間に公園の緑を眺める」など、シーンを想定すると窓の配置が決まりやすくなります。また、ウッドデッキやタイルテラスを設けたり、室内外の床の高さを揃えたりすることで、空間の一体感を高めて自然を身近に感じられるようになります。
まとめ:借景を取り入れて理想の家づくりを実現しよう
借景を楽しみつつプライバシーを守るには、窓の位置や大きさが重要です。風景の見え方だけでなく隣家や通りからの視線の入り方も考慮して、窓の計画を立てましょう。窓枠の種類や、窓を開けた時の見え方によっても印象が変わるため、しっかりと比較してみてください。
借景を活かした住まいづくりには土地選びも重要。早い段階からプロに相談すると安心です。注文住宅ならではの自由設計で、あなただけの眺めを取り込む家づくりをスタートしませんか?






